魚雷攻撃

図Aは魚雷発射の基本にあたる部分で、状況に応じて変化はあっても基部は変わりません

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射点Pは魚雷投下時に雷撃機がいる場所で、同様にDの位置は魚雷投下時に目標艦がいる位置になります
D-Pは魚雷投下時の目標艦と雷撃機の照準距離で照準線とよばれる。方位角は魚雷投下時の目標艦と照準線の角度
射角は魚雷投下時の雷撃機と照準線の角度。Aは目標艦が進路を変えず進行した場合に魚雷が命中する位置
Bは目標艦が面舵で回頭した場合に魚雷が命中する位置Cは目標艦が取舵で回頭した場合に魚雷が命中する位置
これは、雷撃機が射角aで魚雷を投下する事ができれば目標艦が直進、面舵、取舵の何れの行動を行なっても
魚雷はA,B,Cのどこかで命中する。
日本軍ではこの時の射角を必中射角、この射点を必中射点、この射法を必中射法と称した

当時日本軍が使用していた91式航空魚雷は射程2000m(後期は1500m)だったが
魚雷投下時に安全を取り遠距離から投下すれば目標艦は魚雷を回避する時間ができてしまい、
命中を取り近距離まで近寄って投下すれば被弾の危険が大きくなってしまう
それどころか、近付き過ぎた事によって調定深度になる前に目標艦に到達してしまい船底を抜けてしまう

そこで、日本軍が決めた雷撃距離(射点P)は中間の800-1000mを基準に魚雷を投下するが
91式航空魚雷速度である42ノットでも1000mの距離ならば46秒、800mでも37秒掛かってしまう
その為に、アングルを変えて同時発射を行なう事で目標艦の逃げ道を塞ぎ命中を狙う

射角aに関してですが、方位角も当然ですが目標艦がD-Aでどの程度移動するかを考える必要があります
これは、対象の速度によって移動距離は変動しますので、目標艦は10-30ノットの間で移動してると考えてもかなり幅を持ちます
実際の船やよく出来たシムの場合には航跡などの波の立ち方や対象物間の移動時間等で予測する事できますが
海の真ん中などでは、対象物になる物が無かったりゲームによっては波の立ち方が正確でないなど厳しいものがあります

そうなれば後は、予測して攻撃する経験を積むしかなくなってしまうのですが
予測しますで終了してしまうと突っ込まれそうなので参考にヒントを記載しておきます

移動予測

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上の図Cは、船の移動予測位置関係を示したものです
魚雷が約42ノットで1000m進むのに46秒かかると先程書きました、では46秒で船がどの程度直進するか?

A 目標艦が15ノットで移動していた場合46秒で355m進みます
B 目標艦が20ノットで移動していた場合46秒で473m進みます
C 目標艦が25ノットで移動していた場合46秒で592m進みます
D 目標艦が30ノットで移動していた場合46秒で710m進みます

これが射点800mならば、予測到達時間は37秒なので移動距離も全体的にそれぞれ約130m程短くなるます
簡単な話をすれば、この距離分だけ魚雷投下時に見越しを取ればいいんだよって話になりますが
洋上には目盛りが付いている訳ではありませんので、目標艦の長さを元に予測位置を割りだすといいでしょう

目標艦によって長さは変わりますが、例として
目標艦が空母で空母の長さを約250mと考えた場合、目標艦が20ノットで進んでいれば
目標艦の1.5-2倍先を狙って投下すれば魚雷は未来位置に向かって進むことになります
ただし、目標艦に対しての方位角(アングル)によっては未来位置の見え方が変わります
極端の例で言えば真後ろから狙えば、相手が何ノットで進もうとアングルによる調整はいりません

又、雷撃機は大体時速370km前後で飛行する為に一秒間で約100mも移動します
雷撃終了後は特別な行動をしない限り、目標艦の前方500m以上の所を低空で通過して離脱します
適正な射点で投下すれば、予測位置の関係上目標艦の上空を通過する事は殆ど無く
通過するとしても、目標艦が止まりそうな速度で進行してるか停泊中の艦船を攻撃した場合ぐらいです


オマケ
二次大戦中の日本軍魚雷と言えば酸素魚雷が有名で、魚雷=酸素魚雷と思ってる人も多いが
一般的に雷撃機などで使われる航空魚雷は酸素ではない圧縮空気を利用した魚雷である


雷道

図Bは魚雷が通る道、雷道の名称を説明した物である

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魚雷は投下後に海中に射した際、一度深く潜るこの事を沈度と呼ぶ
目標艦に魚雷を命中させる為には、この深く沈んだ魚雷をいち早く調定深度まで浮上させ
水中雷道を短くする必要がある。この為には出来るだけ魚雷を低い高度で投下し射入雷道を短くする必要がある
尚、高度が低くても高速で魚雷を投下した場合に海面で跳ねたり魚雷が壊れる可能性もあるため
魚雷の性能と投下の関係性も合わせて確認する必要がある



雷撃の方法

日本軍の資料が少ない為に、確認ができる資料が多い
米軍が大戦時に使用していた雷撃方法の一部をメインに紹介します


米軍


ANVIL_ATTACK

8機の雷撃機編隊が攻撃時に2つに分離し目標艦に対して左右から挟み撃ちする
8本の魚雷が目標艦の進行方向にかぶさるように放つ事で目標艦に命中を狙う
図内Pの様に8機を越えた編隊でも同じ様な攻撃方法をとることができる

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WAVE_ATTACK

12機の雷撃機編隊を攻撃時に4機の3編隊に分離させ、第一波、第二波、第三波と時間差を付けて
目標艦の片舷に集中して波状攻撃する方法
目標艦が左右どちらに回頭しても後続の雷撃隊が波状攻撃により攻撃を仕掛けるので命中を狙える

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A-B-C_ATTACK

12機の雷撃機編隊を攻撃時に4機の3編隊に分離させ、第一、第二編隊を扇形のANVIL_ATTACKする
この時に相手が左右のどちらかに回頭した場合はすかさず第三編隊が追い討ちを掛ける

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資料が少ないので、想像で補う部分が多く信頼性が低いのですが
日本軍の攻撃方法もオマケとして載せておきます
(誰か知ってる人が居たら連絡お待ちしております)


日本軍

攻撃の流れ

適正高度で進撃し目標艦確認後、目標艦を左手に見つつ距離一万メートルで
高度を落としながら左旋回、号令で突撃を開始、距離千メートルで魚雷発射

長機から [トツレ=突撃準備隊形] の命令で攻撃隊形に移行し(一万メートル)
次の指示 [トトト=突撃] の命令で目標艦に向かい各機攻撃する


馬蹄形包囲陣

長機を先頭に単縦陣に移行しつつ、馬蹄の形になるように
目標艦を包囲し、攻撃の合図で目標艦に向かって各機攻撃を開始する
図は想像です

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扇形挟撃,鶴翼の陣

長機を中心に各機左右に五度間隔で広がり目標艦に向けて展開する
その後、両翼にいる機体が増速して隊形の前に出るような形になり目標艦を包囲
攻撃の合図と共に目標艦に向かって各機攻撃する(*作図関係上機数を限定しています)

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