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BFP Coop Ju88
往路同様、帰路も敵の襲撃はなく平和な飛行が続いた。
恐らく戦闘機隊が敵戦闘機を撹乱してくれたのだろう。
この付近まで戻ってくると機長の顔から緊張の色が薄らいだように感じる。
ここまで中隊の各機はどの機も損傷を受けていない。
機長は言った。
「戦果を上げることは大切だ。だがしかし、一番大切な事は搭乗員と機体を毎日無事に基地に帰すことだ」と。
いよいよ基地が近づいてきた。各機が着陸態勢に入っていく。
本機が滑走路へ降りようかというまさにその時、後部銃手が叫んだ
「落ちた!1機落ちたぞ!」
振り返ってみると、立ち上る黒煙が見えた。
機体のトラブルか、操縦ミスか、中隊の1機が滑走路を目の前にして不時着したようだ。
その間も機長は何事もないかのように前を見据えたまま、機体を滑走路へ降ろしていく。
機体を駐機場へ運びエンジン停止させ、黒煙とそこへ向かっていく基地の救急車や消防車へ目を向けた機長が口を開いた。
「たまにある事だ。基地を見て安心してしまったり、降着装置が故障していたりでトラブルが起きることは。
だがそれに動揺して、私がこの機を危険に晒すことは許されない。」
今回の作戦では、残念ながら作戦最終段階に1機の作戦機を失ったが乗員は基地の守備隊に救助されたそうだ。
明日もこの第3飛行中隊は港湾攻撃のために出撃するという。
この戦争を通し、この中隊から唯の1機も喪失機が出ない事を切に願う。
Eine Flussigkeit