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第二波攻撃隊 著 和陀誉
1941/11/26
択捉島の単冠湾に帝国海軍機動部隊が集結しだし、機動艦隊が集る光景の壮観さの後押しを受けるように遂に戦争が始まると兵達の噂にはなっていたが
赤城に搭乗員が集められた後、南雲中将により攻撃目標が米太平洋艦隊であると告げられ搭乗員の皆は改めて今までの訓練を思い出すと共に身を引き締めたようだ
他諸々の話の後赤城艦長により、山本長官の訓示の代読があり解散、間もなく機動艦隊は米太平洋艦隊の港であるハワイへ向け出港した
12/02
大本営から令を受けており、ある程度は自由に行動が許されてる為、
艦橋で艦長と色々話をしていると 「 失礼します!! 」 と、大きな声と共に通信兵が駆け足で入室し
大きく息を吸うと 「 大本営から 「ニイタカヤマノボレ一二零八 」 の暗号電文を受信」 との連絡する
一瞬で艦橋が緊張の空気につつまれ、艦長は 「そうか・・・」 と息を吐き出しそれ以上何も言わなかったが
後に別の幹部に聞いた所、予定通り戦闘行動を継続し作戦を実行する為の暗号だと聞く事が出来た
12/08
前日 「 皇国の興廃、かかりてこの聖戦に在り。粉骨細心、各位その任を全うすべし 」 の無電を受信
各々改めて気持ちを引き締めハワイ近海の作戦海域に到着。機動艦隊の各空母が今作戦の要である攻撃隊を発艦させる為風上に向かい全力航行を行う
0130時、第一波攻撃隊発艦開始 0245時、第二波攻撃隊発艦開始
この作戦により、太平洋戦争の幕が明けるのである
作戦中の空母は甲板も艦内も出撃準備の為、足の踏み場も無いぐらい人や物が溢れていた、
私は艦長から指示を請けた後、艦内を探し回りようやく目的の人を見つける事ができた
「 少佐!!挨拶が遅れてしまい申し訳在りません。自分は大本営海軍部海軍報道部所属の和陀誉 少佐であります
今作戦報道の為に大本営から機動艦隊と行動し、その事実を報告するためにご一緒させていただく事になりました
戦果を自分の目で確認するべく第二波攻撃隊に随伴するようにと艦長から指示を受けております 」
搭乗員に囲まれるようにしていた男性が
周りの雑音に飲まれないように張った私の声に気付き振り返った
「 君が聞いてた大本営の人だね。艦長から死んでも連れて戻るように言われているよ 」
緊張していた私とは対照的に落ち着いた感じの人だった
「 階級は同じなんだし、もっと気を楽にしてくれていいよ。此方の自己紹介は必要ないね? 」
などと、挨拶もそこそこに話の続きは後でと搭乗員との打ち合わせを再開した
作戦の前なので当然と言えば当然ではあるが、空気が読めない自分を反省する
そんな中、甲板上では第一波攻撃隊が出発を開始したようなので攻撃隊を見送る為に甲板に上がり
次々と発艦して行く攻撃隊の武運長久を祈りながら帽子を一生懸命振り続ける
100機を超える大編隊の為、全ての発艦が終わるまでには時間が掛かるとはいえ
次は第二波攻撃隊の出発となるので、第一波攻撃隊の発艦が半分ほど過ぎた頃に第二波搭乗員の輪に戻ると
搭乗員同士、武運長久を言い合いながら戦果を期待し興奮を隠し切れない搭乗員があちらこちらにいる
そんな中、一段落を終えたのであろう私の搭乗する機体の操縦士が此方にやってきた
「先程は悪かったね、作戦は徹底させる必要があるからしっかりしておきたかったんだ」
と、侘びをいれつつ搭乗中の注意点などの説明をしてくれた
説明も終わり、色々話をしていると甲板では第一波攻撃隊の発艦が終わり
第二波攻撃隊の機体が並べられ出発の時間になったようだ
各搭乗員、意気込み揚々に機体に乗り込み我が第二波攻撃隊が遂に発艦を始める
次々と発艦して行く機体を見送りつつ、順番が私の乗る機体になり操縦士が離陸するために出力を上げて
機体はそれに答えるように動き出す。加速して一瞬沈む感覚の後機体が空に持ち上がっていく
後ろを振り返ると、甲板上で出番を待つ後続の機体が加速を開始した所だった
順番に発艦する為、全部が終えるまで上がった機体は空中で集合しながら後続を待つ
全部の機体が集合を終えると、いよいよ進路をハワイに向けて約二時間の飛行を開始する